お賽銭の意味が良くわかるおはなし
お賽銭の話の前に、まずは前提のお話なのですが、仏教用語に「取」という言葉があります。これは物事に対する強い執着の心を表しています。「取」があるが故に人間は自分が欲しいものを人を押しのけてでも奪い取り、自分が嫌うものを排除しようとしてしまうのです。例えば、出世のために人を蹴落とし、お金のために人を裏切り、殺してしまう。実際はそこまでする人間は稀ですが、程度の差はあれ、人々は「取」を捨てることはできないのです。
さて、ここからがお賽銭のおはなし。
お賽銭は、場合によっては、願い事をお金で叶えてもらおうという下心のような、祈願成就のお礼のような意味が先行しがちです。確かに「賽」という漢字には、【神仏の福に感謝して祭る】という意味があります。古くは米を神仏に供えられていたものが、貨幣経済の発展と共に米よりも銭貨が供えられるようになり、そのまま銭貨が置かれていたことから自然と賽銭箱が置かれるようになりました。
しかし、それ以外にも、自身の罪を金銭に託して祓うとする説や、賽銭箱に硬貨を入れる音によって罪や魔を祓うとする説、そして、自分の祈りの心を一握りの金銭に託し、「取」を捨てる修行に似た意味と、諸説ある行為と言われています。
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